RCCJコラム

ＫＯＲＥＡこどもキャンペーン　メンバーによるコラム

●フツーの主婦が見た北朝鮮あれこれ
その壱　きたちょうせんって？

「300万人が餓死ーーその数は朝鮮戦争の被害者数を上回る」。私が手にしたアメリカの下院議員・トニーホールの議会への報告書の内容は、とてもショッキングなものでした。300万人という数字の信憑性はさておき、その他にも「トウモロコシの芯や、木の皮までも食べている」などの記述があり、どんどん引き込まれていきました。

隣の国で何が起こっているのか？

この素朴な疑問から私の北朝鮮問題への関わりが始まったのです。

　この３年間、いろいろな情報を得て、人と出会い、北朝鮮にも行って来ました。今、日本で北朝鮮に関する報道は、とても断片的で、偏っていて、わかりにくいものが大半です。とにかく避けて通ったほうが無難だ、と普通の人は思っているとことでしょう。そんな中、北朝鮮のこどもたちへの人道支援にご協力頂いている、多くの皆さんに対して、少しでも私たちが知っていること、私たちが「ＫＯＲＥＡこどもキャンペーン」として実際に現地で見て接した、北朝鮮の姿、人々のようすを伝えていけたらと思います。

近くて遠い国

　北朝鮮は、日本でいうと東北地方ぐらいの緯度にあり、九州の福岡からも、東京からも、平壌までは同じくらいの距離です。ところで、国交がない北朝鮮に行くには、一度、北京やウラジオストクを経由します。北朝鮮と国交のある国で入国ビザを取得しなければなりません。９８年の「テポドン」騒動の際に運行が取りやめとなった、名古屋からの直行「チャーター便」で行くと２時間くらいで、本当はとても近いのです。

　よく「北朝鮮へは旅行できるのですか？」と聞かれますが、観光ツアーなどもあり、在日朝鮮人の人たちは、親戚訪問などもしています。ただ普通の日本人がツアー以外で行く場合には、受け入れてくれる人や団体が必要なので、簡単とは言えないでしょう。ちなみに私たちが北朝鮮へ行くより、北朝鮮の人たちに日本に来てもらうのはもっと大変です。

　たとえば、カンボジアやタイの人（いわゆる「途上国」の人）を招聘することを考えてみましょう。まず、身元保証書、招聘理由、受け入れ団体の証明のほかに、細かなスケジュールを当該国の日本大使館に提出します。それに加えて細かな書類（預金残高証明書や雇用証明など）がなければ、日本への入国ビザは発行されません。日本人がタイやカンボジアにいとも簡単に行けるのとは違って、とても大変なこの状況は、国と国の力関係がよく現れていると言えるでしょう。北朝鮮の人を呼ぶ場合には、さらに法務省の手続きが必要になり、困難さはますますアップします。お互いに簡単に行き来できないこの状態を見ると、やはり「遠い国」だなぁと実感します。

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